Human

等身大で生きる。放浪カメラマン”ヒロタケンジ”

「特に夢とかビションはなかった」

そう話してくれたのは、現在ミニバンで日本を放浪中のカメラマン・ヒロタケンジさん。

“多くを語らない、でも熱い情熱を持った人”
そう思っていた彼の人物像は、出会ってすぐに崩される。

気さくで少年っぽさが残る可愛らしい人。そして決して背伸びせず、未来を見据えすぎない居心地のいいユルさを持った人。それがヒロタさんの第一印象だった。

思うがままに、運命に導かれるままに人生を楽しんでいるヒロタさん。今回は、そんな彼の等身大な生き方にクローズアップする。

 

放浪カメラマン・ヒロタケンジ

 

Photo by http://hirokenji.com/blog/

1980年生まれ、東京下町育ちの元ITサラリーマン。

長年の悩みであった“あがり症”の克服により、怖いものがなくなった30歳。そのタイミングで出逢った”ひすいこたろうさん”の「あした死ぬかもよ?」の本 と、刺激的な仲間にインスピレーションを受け、8年間務めたIT会社をあっさり退社。

「人生やりたいことをやって死にたい」

そう強く思ったことをきっかけに、2012年12月の32歳の時に世界放浪の旅に出る。

無期限だった旅。日本を出発して2年が経った時、入院する家族に会うためにその幕は降ろされた。

帰国後、千葉県の房総半島の金谷に拠点を置きカメラマンとして活動。

“50円出張カメラマン ”から始まり、無料画像を配布している ”ぱくたそ”カメラマン、そしてあの有名なニューヨーク・タイムズの仕事を経て、現在はある撮影の依頼を受け日本全国を駆け巡っている。

 

長年苦しめられたあがり症

 

Photo by http://hirokenji.com/blog/

高校時代に発症した極度のあがり症に苦しみながら、卒業後は専門学校に進み、パソコン店員、ニート生活、そして IT業界でのサラリーマンと人生を進めて行ったヒロタさん。

いつも付きまとう”あがり症”と、それに伴う”心の憂鬱”。この頃のヒロタさんは、夢も希望もない毎日の中で自分自身と真剣に向き合っていた。

「どうにかしなければ」

当時、IT業界で働いていた28歳のヒロタさんはそう思い、コミュニケーション講座やスピーチ教室に通い始める。そしてようやく2年かけて、長年苦しめられていた”あがり症”から解放された。

 

カメラとの出会い

 

ヒロタさんとカメラとの出逢いは、ずっと彼を悩ませていた “あがり症”を克服した頃。

「移り変わっていく東京の姿を記録していきたい」
そう思ったのをきっかけに、彼は一眼レフを手に入れる。

「その瞬間を切り取る、記録していく」
ヒロタさんは、そんなカメラの世界にどんどん魅了されていった。

 

意気揚々と出発した世界放浪の旅

 

Photo by http://and-sekaiissyu.com

「旅は自分を変えなかった」

 そう世界放浪の旅について語るヒロタさん。

退職後、頭を丸坊主にして気合十分に出発した2年間の旅。それは、自分が求めていたものを与えてくれるものではなかった。

“軟弱な自分の心を叩き直したい”
”いつも付きまとう将来やお金への不安から解放されたい”
”何が起きても大丈夫という心の強さが欲しい”

31か国もの国を渡り歩き、様々な文化に触れ、旅らしいハプニングも経験。でも、そのことが自分を成長させたかというと、そうではなかった。出発前に描いていた”理想の自分”は、昔と変わらず遠くにいたままだったのだ。

「2年も旅をしていると飽きがきたり、旅の疲れから日本に帰ろうかと考える事もあった。でも何の予定もビジョンもない自分にとって、 ”帰国”とは自ら落とし穴に落ちいくようなもの。だから帰国したくなかった。現実世界に戻ることを恐れていた」

大好きなカメラと共に歩いた世界はもちろん素晴らしいこともあり、「どこでも生きていける」という強い気持ちもあったはず。でも、根本的なことは変えられないままだった。

 

帰国してからカメラマンとして動き出すまで

 

帰国後に訪れた憂鬱な日々

 

ヒロタさんのご家族の1人が入院するということで帰国を決心。

「2年間の世界放浪の旅を写真集にしよう」

帰国後、そう意気込んで制作を始めた写真集。でも、1人で作業していく中で 感じた何とも言えない鬱々感と、収入がない不安や焦りがまた彼を苦しめ始めた。

「自分の好きなことをやっているはずなのに……」

締め切りもなく、誰から何も言われることがない制作活動。でも、毎日何かに追われているような感覚に陥っていたヒロタさんは、自分だけの世界から外の世界へ足を運び始める。

 

坂爪圭吾さんとの出逢い

 

そんな時に、偶然一緒にご飯を食べることになった”坂爪圭吾さん”との出会いが訪れる。坂爪さんは家を持たずに、自身のブログで情報発信をしながら、世界中で様々な活動をしている人だった。

「お金がなくなるのが恐いんですよ」

初対面、しかもカリスマ的人気を持つ坂爪さんに思わず言ってしまった一言。 そんなヒロタさんに、坂爪さんはこう告げたそうだ。

「いっそのこと全て失くしてみてはどうですか? 中途半端にお金を持っているからエネルギーが分散するんです」

それが坂爪さんからのアドバイスだった。予想もしていなかったこの言葉に、 ヒロタさんは衝撃を受けた。

「どうにかなるか」
そんな思いがフツフツと生まれ、ヒロタさんは動き始めた。

 

そして始まったカメラマンとしての自分

 

帰国してから5ヶ月目。もがきながらも前に進み始めたヒロタさんは、ある友人の結婚式の依頼をきっかけにカメラマンとしてデビューすることになる。

それまではお金を取らず、自由に写真を撮ってきたヒロタさん。 5ヶ月目に訪れたこのデビューをきっかけに、 ”好き”を仕事に、そして生きがいを取り戻していく。

「最初は仕事といっても、生活出来るにはほど遠い収入。増して、天候やその時の状況によって左右されるカメラマンという仕事は、時間給で考えると割りに合わないことも多い。でも自分の好きな『旅』『カメラ』『各地の美味しいものを食べられる』ということが出来る仕事に幸せを感じて今も続けている」

カメラマンとして2年経ったヒロタさんは、嬉そうにそう話してくれた。

 

”どうにかなる精神”があったからこそ、今こうやって生きている

 

特にビジョンも持たず、「今」を生きてきたヒロタさん。世界放浪のときも、帰国してからの鬱々のときも、お金がないときも、「まっ、どうにかなるか」の気持ちで前に進んで来た。

その“どうにかなる精神”は、30歳まで苦しめられていた『あがり症』を克服したことで生まれた彼の大きな強みだった。

「今までの人生の中で、自分のあがり症は最大で最後の敵だったと思う」

人前で上がってしまう自分、鬱々の中にいる自分、お金がない自分。そんなダメな自分を全て、等身大で受け入れられるようになったヒロタさん。人生最大のターニングポイントになったあがり症への勝利は、何の経験よりもヒロタさん自身の心を強くしていた。

 

金も名誉も女もない。でも上出来だと思える今の人

 

Photo by https://twitter.com/piroken1980

金も名誉も女もないが、好きな自分と、好きな時間に好きな場所で好きな写真を撮る毎日。「人生、上出来じゃないか」と感じる朝を迎えました。

 

ヒロタさんのツイッターで心を鷲掴みにされた言葉だ。

「今の生活に後悔した事はありませんか?」
その質問に、ヒロタさんはこう答えてくれた。

「ITサラリーマン時代は安定した収入があったが、時間の拘束とストレスを感じる毎日だった。週末にはそのストレス発散としてお金を使い、そんな悪循環 の日々に将来への不安は絶えなかった。

カメラマンとしてフリーで活動している今は、ストレスゼロ、時間にはゆとりがある。きっと人生で1番お金がない生活をしているが、これまでの人生の中で1番の安心感と幸せを感じている。過去に戻りたいと思ったことはない。今の生き方に後悔はない」

迷いのない言葉だった。

放浪カメラマン・ヒロタケンジさんは、好きなものに囲まれて、自分らしい人生を自分らしく謳歌している。

 

ヒロタケンジのこれからのビジョン

 

Photo by http://hirokenji.com/blog/

今まで特にビジョンがなかったヒロタさんの人生。縁あって訪れた千葉のいすみ市でパーマカルチャーに出会い、理想的な暮らし・自分らしい生き方をついに見つける。

「小屋を作ったり、畑をしたりして暮らしを作っていきたい」

東京育ちのヒロタさんにとっては、田舎暮らしのほとんどが知らない事だらけ。そのことが新鮮で楽しいそうだ。

「今の撮影の仕事が終わったら千葉に戻り、早速暮らし作りを始めたい」

彼は半自給自足を目指していて、近いうちに狩猟免許も取得すると意気込んで いる。

 

等身大の生き方

 

迷いながらも前に進んで来た放浪カメラマン・ヒロタケンジさん。人生最大で最後の敵”あがり症”を撃退した彼の生き方は、とても自然体で無理のない等身大そのものだった。

「まっ、いっか。どうにかなる」

焦ったり不安になってもがくのではなく、あるがままを受け入れてしまう。その事で開けてくるものがあるという事を、ヒロタさんは分かっているのだろう。

放浪カメラマン・ヒロタケンジは、カメラを相棒に “今”を自分らしく生きている人だった。

 

放浪カメラマン・ヒロタケンジからのメッセージ

 

最後に、ヒロタさんから読者の皆さんへのメッセージをお願いした。

 

「心の声に素直に行動して下さい。たとえ心配事があってもどうにかなります。人間はそう簡単に死んだりはしません。

そして自分の好きなことをやり続けて下さい。僕は苦しい時もカメラから離れませんでした。時間はかかったけど、やり続けた結果、今の生活を手に入れました。

ダメなときは助けてと声を上げればいいんです。いつも心をオープンにしていれば、必ず助けてくれる人がいますよ」

 

ヒロタさんらしいメッセージ。
彼の生き方・考え方に勇気をもらう人は、きっと多くいることだろう。

 

▽放浪カメラマン・ヒロタケンジ ▽

Blog : http://hirokenji.com

Twitter : https://twitter.com/piroken1980

Instagram : https://www.instagram.com/hirokenji_trip/

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